病室にWi-Fiを!
コロナ禍で、日本国内では、DX(デジタルトランフォーメーション)やデジタル庁設置など、社会のデジタル化が急速に推進されようとしています。ソーシャル・ディスタンスが求められる中、テレワークが推奨され様々なものがオンライン化され、学校、仕事、イベントが遠隔で行われるようになってきています。
その中で取り残されそうになりがちなのが、長期入院しているがん患者や障害者たちです。
(患者さんたちの声はここ)
例えば、聴覚障害者たちは、マスク着用が求められる中、口の形を読むことができず、コミュニケーションが大変困難になりました。また、手話通訳者の健康を守るためにも、手話通訳者を病室に派遣することが難しくなりました。
厚生労働省は、コロナ禍の聴覚障害者のコミュニケーション支援のために、通信を使ってリモートで手話通訳を行う遠隔手話通訳の強化を開始しました。また、オンライン診療の推進を決め、そこに手話通訳者ができることも新たな指針として通知しています。電子カルテなどの利用推進のためにもWI-FI(無線LAN)の導入を進めています。
Wi-Fi(無線LAN)を医療機関に設置すること自体には法的な制約はありません。
総務省は、全国に公共のWi-Fi(無線LAN)を普及させようという計画を立ち上げています。2020年には、聴覚障害者がビデオ通信などを利用して手話などを介在して聴者と電話を掛けることができる電話リレーサービスの法制化を行いました。
今年からは医療機関からろう者等へ電話をかけることも可能になります。
日本には民間、公共あわせて約9,000の病院があり、約160万床あります。
電波環境協議会の2019年のサンプル調査によれば、
すでに81.1%の医療機関がWi-Fi(無線LAN)を導入しています。
これらは、電子カルテなどの医療系システムの無線化やインターネットサービスなど多様な用途で利用されているということです。
しかしながら患者などにWi-Fi(無線LAN)アクセスを提供しているのは、その内の27.3%に留まっています。
極端なところでは、みんなが分かる場所に「病院ではインターネット利用を禁止する」というポスターを掲示しているところさえあります。
このような状況では、せっかくの
遠隔手話通訳の仕組みも効果的に生かすことができません。
(全日本ろうあ連盟は厚生労働省に要望を出しています。)
聴覚障害者に限らず、視覚障害者や筋ジストロフィーなどの障害者の患者の方たちが、外部とのコミュニケーションのために病室でWi-Fiを使うことが必要になっています