NPO法人インフォメーションギャップバスター 理事長 伊藤 芳浩様からのメッセージ
コロナ禍は、私たちの生活を大きく変えました。その結果、ソーシャルディスタンスという言葉が生まれました。この言葉は、聴覚障害者にとって見えない壁となっています。これまでFace to Faceで会話できていたのが、マスクを着用したり、離れて会話しないといけなくなりました。聴覚障害者にとって、表情・口形は重要な情報源です。コロナ禍では、医療従事者は、医療用防護服やマスクなどで顔も区別がつかず、表情・口形を読み取ってコミュニケーションすることは難しいのが現状です。こういった問題を解決するためには、手話通訳を介してコミュニケーションをすることが必要になってきます。現在は、感染防止のため、遠隔手話通訳サービスというタブレットやスマートフォンなどを介して、手話通訳者が聞き取った音声を手話に通訳したりする形が増えてきています。
しかし、遠隔手話通訳サービスでは、音声+映像の配信となるため、1時間で0.6GB(Zoomの場合)を消費します。使用しているスマホの契約プランのデータ量制限や経済的な問題もあるため、スマホ回線を使った通信は現実的ではなく、病室に用意したWi-Fiを利用することが望ましいです。すべての人が等しく医療従事者と円滑にコミュニケーションできる環境を整えることは、情報格差、ひいては、医療格差を起こさないためにも必要であり、2015年9月に国連で開かれたサミットで、世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標であるSDGs 目標3「すべての人に健康と福祉を」にも深く関わってきます。コロナ時代の今こそ、“病室にWi-Fiを!”を実現し、医療格差をなくし、すべての人が公平に医療を受ける時代が来ることを心から願っています。
伊藤 芳浩NPO法人インフォメーションギャップバスター 理事長